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 地球温暖化は、もはや遠い未来のことではありません。今まさに地球は暑くなりつつあります。特に、2007年北極で生じた異変は、地球の気候が急速に変化し始めた兆候かもしれないのです。

北極が溶けている

 2007年9月、北極海の氷が観測史上最小になりました。これは専門家の予測をはるかに超え、温暖化によって地球環境に劇的な変化が起こりつつあることを予感させるものです。

 北極には南極と異なり大陸が無く、海面には海水が凍結した平均の厚さが2メートル程度の海氷が浮いています。その面積は、気温や水温の変化によって、冬には拡大し夏には縮小します。1980年代までは夏でも700万平方キロメートル程度あり、北極海のほとんどが氷で覆われていたのです。

 しかし、その後10年ごとに約50万平方キロメートルずつ縮小し、2005年には過去最小の531万平方キロメートルになりました。このままでは2050年頃の夏にはほとんど氷がなくなるのではないかと予測されていたのです。

 ところが2007年は、8月半ばに2005年の記録を更新して縮小を続け、9月24日には426万平方キロメートルとなり、一気に105万平方キロメートル(日本列島3倍分)も記録を更新しました。これは、これまでの専門家の予測をはるかに超えた「異変」です。

 海氷が急激に減った原因は、「氷の減少によって流動性が高まり、ベーリング海峡から太平洋の暖かい海水が大量に流れ込むようになった」「ユーラシア大陸から吹く風によって、氷が大西洋に押し出された」などが指摘されています。いずれにしても、根本的な原因が地球温暖化であることは専門家の一致した見解です。

加速する温暖化

 北極の氷は海に浮いているため、溶けても海面上昇は起こりません。しかし、白い氷は太陽からの放射熱のほとんどを反射しますが、氷が無くなった海面はその半分以上を吸収するため水温が上がります。それによってますます氷が溶けるという悪循環が生じるのです。このままでは、2050年頃ではなく、2013年(わずか5年後)の夏には、北極の氷はほとんど消滅するのではないかという予測もあります。

 北極圏の気温上昇は、さらなる異変を引き起こしつつあります。地球の陸地の14%、約2000万平方キロメートル(日本の54倍)もある永久凍土(常に凍結している土壌)が溶けはじめているのです。すでに、シベリアの西部では100万平方メートルの永久凍土が溶け、浅い湖や沼地に変わりつつあります。

 永久凍土には植物が分解されてできた大量のメタンガスが蓄積されており、これが凍土の溶解によって放出されています。メタンガスは二酸化炭素の20倍の温室効果を持ち、温暖化を加速しています。2100年には北極圏の永久凍土の面積が10分の1程度に減少するという予測もあります。

限界に達した地球

 地球温暖化が進行する中、エネルギー消費はますます拡大しています。地球の人口は今年中に67億人に達し、資源とエネルギーの争奪戦が激化しています。北極海でも、氷が減って容易になった海底油田開発の利権をめぐって、アメリカ・カナダ・ロシア三国が争奪戦を始めています。

 2008年になって、原油価格は1バレルあたり100ドルを突破し、その他の鉱物資源や食糧も高騰しています。石油生産は昨年か今年がピークで、今後は減少するのではないかという予測もあります。地球は環境も資源もすでに限界に達しているのです。

 このままでは、今後わずか数十年の間に世界の気候は大きく変わり、海面上昇や乾燥化、風水害の増大など、深刻な事態が起こる可能性が高いのです。昨年の北極の氷の減少は、「われわれは、もはや取り返しがつかない状況を招いてしまったのではないか?」とさえ思わせるものです。今年の夏に北極の氷はどれくらい減少するのか、これが近未来の地球を占うことになるかもしれません。

 しかし、あきらめるわけにはいきません。温暖化はなんとしても防がなくてはならないのです。今のところ、EU諸国が提案している「2050年までに世界全体で温室効果ガスの排出を50%削減(1990年比)する」という目標が、温暖化を防ぐ最後の砦なのかもしれません。すでに排出量が40%近く増えている中、これは非常に高ハードルです。そして、それが達成されたとしても、2℃程度の気温上昇は免れないといわれています。

 今世界の多くの人々が危機感を感じはじめています。「地球温暖化など本当に起こるのだろうか?」「起こるとしても遠い未来の話だろう」と思っていた人も、今その脅威を感じています。この危機感をバネにして世界が真剣に温暖化に取り組めば地球を救うことができるかもしれません。(本連載はこれで終了します。ご愛読ありがとうございました。)
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地球温暖化によって氷が溶け、海水面が上昇して低い土地が水没するといわれていることは、多くの人が知っていることでしょう。しかし、なぜそれが起こるのかについては多くの誤解があるようです。

南極の氷は溶けない?

 地球温暖化に関する専門家の集まりである「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)によると、温暖化の進行によって、今世紀中に海面は最大で59㎝上昇すると予測されています。

 では、なぜ温暖化すると海面が上がるのでしょうか? おそらく多くの人は、「南極の氷が溶けるから」と思っているのではないでしょうか?……実はこれは正しくありません。南極には平均の厚さが2千mの、地球上の90%もの氷がありますが、IPCCの報告でも今のところ溶けていないのです。というのは、南極では夏でも気温が0℃以上になることはほとんどないからです。

 氷が溶けるかどうかは単に温度が上がるかどうかではなく、0℃を境にした温度変化によって決まります。したがって、現在氷が溶けているのは0℃を境に気温が上下するような地域、例えばヒマラヤアルプスアラスカスカンジナビアなどの山岳氷河です。

 このような山岳氷河は冬には拡大、夏には縮小を繰り返しながら、温暖化によって少しずつ後退し、海面上昇を引き起こしているのです。
 また、海面上昇は氷が溶けなくても、温度の上昇だけでも起こります。温度が上がると水は膨張するからです。これによって数㎝の海面上昇が今世紀中に起こると予測されます。

北極が溶けている

 氷が溶けているもうひとつの場所が北極です。北極は南極と異なり大陸が無く、平均で2mしかない海氷が海水の上に浮いています。これが今、急速に減少し、2007年9月には観測史上最も小さくなりました。

 北極の氷は海に浮いているため、溶けても海面上昇は起こりませんが、氷の減少は温暖化を加速させています。白い氷は太陽からの放射熱のほとんどを反射しますが、氷がない海面はその半分以上を吸収するため、ますます温度が上がり氷が溶けるのです。このままでは2040年頃には北極の氷はほとんどなくなってしまうという予測もあります。

 北極の気温は、すでに過去100年間に2℃程度上昇したと推定され、これは地球平均(0.7℃)の3倍になります。今世紀中には10℃も上がるという予測もあります。

 気温の上昇は、新たな異変も引き起こしています。北極圏の永久凍土が溶けつつあるのです。永久凍土には植物が分解されてできた大量のメタンガスが蓄積されており、これが凍土の溶解によって放出されています。メタンガスは二酸化炭素の20倍の温室効果があり、さらに温暖化を進行させるのです。

 北極の温暖化は、世界の氷の9%になるグリーンランドの氷床にも異変を起こしています。この氷床は、夏には一部が海に崩れ落ちて氷山となりますが、最近その数が急増しているのです。

 その原因は、夏には溶けてできた水が氷の割れ目から地下の岩盤にまで流れ出し、氷の底が滑りやすくなって氷床の崩壊を加速させているためです。現在のところ海面上昇の最も大きな原因はこのグリーンランドの氷床の崩壊なのです。

南極で生じている異変とは?

 先述したように、南極では氷はほとんど溶けていません。しかし、重大な異変が起こりつつあります。それは、大陸から海に向かってせり出している棚氷の崩壊です。

 その原因は、夏に表面の一部がわずかに溶けて氷に染み込み、棚氷がもろくなったことと、海面上昇によって下から突き上げられたことによると考えられます。ただし、棚氷も北極の海氷と同様に、もともと海の上にある氷なので、流れ出しても海面上昇は起こりません。

 しかし今後、棚氷が大規模に崩壊すると、南極の氷床の一部が不安定になり、大陸上の巨大な氷が大規模に海に崩れ落ちる可能性があります。そうすると4~5mもの海面上昇が起こる可能性があるのです。

 このような極端な海面上昇は今世紀中には起こりません。しかし、わずかな海面上昇がきっかけで、いずれ連鎖反応的に海面上昇が起こると予測されているのです。

 世界各地で起きている異変は、温暖化対策が遅れると将来に取り返しがつかない事態を引き起こす可能性を示しているのです。
(平成19年12月7日記す)

 二酸化炭素などの温室効果ガスの温暖化が進行する地球。しかし、一方で、温暖化がきっかけで地球の寒冷化が進む可能性も指摘されています。この、一見奇妙な仮説を検証してみましょう。

海流が作り出す穏やかな気候

 地球は太陽からの放射熱の量によって赤道付近は暑く、極地方は寒くなっています。しかし、地球表面の七割を占める海は、海流によって赤道付近の熱を中・高緯度地方に運び、地球全体の気候を穏やかにしています。もし海流が止まると、赤道付近はより暑く高緯度地域はより寒いという極端な気候になるのです。

 高緯度地域を暖めている海流の代表が北大西洋を南から北に流れるメキシコ湾流です。熱帯から北緯70度にまで達する流れは、高緯度に位置するヨーロッパを温暖な気候に保っています。

 たとえば、日本の札幌(北緯43度)の年平均気温は9.0℃ですが、イギリスのロンドンはずっと北(北緯51度)に位置するにもかかわらず9.7℃です。

深層海流が熱を運ぶ

 このメキシコ湾流は北上しながら次第に温度を下げ、最後はグリーンランドなどから流れてきた海氷によって冷やされて重くなり、海底深く沈み込みます。また、凍結して海氷が作られる場合もあり、その際には塩分が吐き出されるので海水はさらに重くなります。

 こうして沈み込んだ海水は大西洋の深さ3千~4千メートルをゆっくりと(秒速10㎝以下)南へ移動する深層海流となります。この流れはインド洋と南太平洋に別れて北上します。その後はしだいに暖められて上昇し、インド洋北部と北太平洋で表層水になります。やがて向きを変えて南下し、アフリカの南端を回って再び大西洋に戻ります。

 この海洋大循環は一巡りするのに約2千年かかる壮大な流れで、熱帯地方の熱を高緯度地域に運び、地球の気候を穏やかなものにしているのです。

メキシコ湾流が停滞すると……

 この海洋大循環が近年弱まりつつあるのです。すでにメキシコ湾流の沈み込みが30%程度弱まっており、今後さらに停滞するという予測もあります。

 その原因は温暖化によるグリーンランドの氷河の融解です。それによって海表面に淡水が大量に流れ込み、塩分濃度が低下して軽くなるため、海水が沈み込みにくくなるのです。

 もしこれが進行すると、海洋大循環が停滞してメキシコ湾流が今ほど北にまで流れなくなり、特にヨーロッパが寒冷化するという予測があるのです。しかし、こんなことが本当に起こるのでしょうか?……実は、今から約1万3千年前に実際に起こっていたのです。

1万3千年前の大異変

 それは、約10万年続いた最後の氷河期が終わりつつあった約1万3千年前のことです。当時、大西洋では今と同じようにメキシコ湾流が高緯度地域にまで流れ込み、ヨーロッパに温暖な気候をもたらしました。

 ところがその後、わずか数十年の間にヨーロッパは急速に寒冷化したのです。それは、北米大陸で起こったある出来事がきっかけでした。

 当時、現在の五大湖の辺りには氷河が溶けて出来た日本列島ほどもある巨大な湖があり、まだ残っていた氷河によってせき止められていました。それが崩壊して膨大な量の淡水が一挙に北大西洋に流れ込み、海氷面の塩分が薄まったのです。
 
 こうして海水の沈み込みが止まり、メキシコ湾流も停滞しました。その結果、ヨーロッパは約千年にもわたって氷河期に逆戻りしました(注)。

 地球が温暖化し、グリーンランドの氷河が溶けつつある現在の状況は1万3千年前と似ているのです。

微妙なバランスに立つ現在の気候

 ただし、この仮説は不確実なもので、仮にメキシコ湾流の停滞が起こるとしてもいつどの程度起こるのかは分かりません。地球温暖化予測をしている「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の報告では、今世紀中に海洋大循環が停止する可能性は低いと見ています。

 また、循環が多少弱まったとしても、それによる寒冷化よりも温室効果ガスの増加による温暖化の方が上まわり、ヨーロッパの気温は上昇するとしています。

 最近、過去1万年の地球の気候は歴史的に見ても非常に安定したものであったことが分かってきました。その原因は海洋大循環が安定していたことによるものと考えられます。地球の気候は微妙なバランスの上に成り立っているのです。

 人間活動による温暖化はそれを突き崩し、不安定な気候をもたらす可能性があります。今後の地球の気候がどう変化するかは予測が困難ですが、温暖化は何としても防ぐ必要があるのです。 (平成19年11月13日記す)

注:ヤンガードリアス寒冷期と呼ばれている

 今サンゴ礁が急速に失われています。このままでは近い将来、世界のサンゴ礁のほとんどが消滅してしまうかもしれません。そしてその原因は人間が引き起こしている地球温暖化なのです。

1年に3000平方キロメートルが消失

 最近の研究によると、過去30年程の間に世界のサンゴ礁の生息環境は急速に悪化しています。年間3000平方キロメートルが消失していると推定され、すでに20%が失われ24%が危機的な状況にあるという報告もあります。

 サンゴ礁は熱帯・亜熱帯の沿岸に存在し、その面積は約62万平方キロメートル(日本の1.6倍)で、全海洋の0.2%にすぎません。しかし、そこには世界の魚類の4分の1が生息するなど豊かな生態系を形成しています。

 サンゴ礁とはサンゴ虫という動物が石灰質の骨格の上に無数に集まって出来たものです。サンゴ虫はイソギンチャクと同じ腔腸動物で、石灰質を分泌しながら無数の個体が集まって群体を作ります。石灰質の骨格の形によって、テーブル状・枝状・塊状など、さまざまな形になるのです。

 おもしろいことに、サンゴ虫そのものは動物ですが、褐虫藻という微細な藻類を体内に共生し、光合成を行っています。そのため、海水に溶け込んだ二酸化炭素を吸収して石灰(炭酸カルシウム)に変え、温暖化の防止にも役立っています。

 サンゴ礁にはサンゴが光合成によって生み出す栄養分によって、多種多様な生物が生息し、豊かな生態系を作っています。世界の漁獲量の10%はサンゴ礁域のもので、特に熱帯域の漁民にとっては重要なものです。また、天然の防波堤として熱帯域の海岸を高波から守っています。

原因は地球温暖化

 サンゴ礁が消滅している原因の第一は地球の温暖化です。サンゴ虫は温度変化に弱く、多くの種類はわずか1℃の温度上昇で体内の褐虫藻が死んで白変色する「白化」が起こり、2℃上昇するとサンゴ虫自体が死滅するといわれています。今、世界中で水温上昇によるサンゴの白化が進み、回復せずに死滅することも多いのです。

 また、最近の研究では水温上昇により、サンゴ自体の病気が拡大することも分かりました。大気中の二酸化炭素が増えて海水が酸性化したことも悪影響を与えているようです。

 このほかに沿岸部の開発による直接的な破壊や、それに伴う赤土流出などによる間接的な破壊、工業排水・生活排水による富栄養化、オニヒトデなどによる食害などもサンゴ礁の消滅に拍車をかけています。さらに、観光開発によってダイバーなどが押し寄せ、サンゴが痛めつけられることも問題になっています。

沖縄でも進むサンゴの白化

 沖縄のサンゴ礁が危機的な状況です。2007年も八重山諸島(石垣島西表島など)近海では海水温の上昇が原因とみられるサンゴの白化現象が大規模に発生しました。その原因は、東南アジアからフィリピン東沖の海水温が上昇するラニーニャ現象により、海水温が30℃を越えるなど平年より高かったことによります。

 沖縄に生息するサンゴの種類は、沖縄本島で約350種、八重山諸島では約370種で、これは世界最大のサンゴ礁であるオーストラリアのグレートバリアリーフに匹敵する数です。また同時に、そこに棲む魚や貝、エビやカニの種類も多く、世界でも有数の種の多様性を誇っています。

 一方、亜熱帯に位置する沖縄のサンゴ礁は、特に水温の変化に敏感だともいわれています。わずか1℃の温度変化で多くのサンゴが死滅し、それによって生態系の多様性が大きく損なわれる可能性が高いのです。

サンゴが作った現在の地球

 そもそも地球が穏やかな気候で生命が住みやすい星になったのはサンゴのおかげなのです。地球が誕生したのは約46億年前といわれていますが、原始地球は現在の20万倍、60気圧もの二酸化炭素と270気圧の水蒸気で覆われ、その温室効果によって気温は200℃にも達していたと推定されています。

 この膨大な量の二酸化炭素は、5億年以上前から地球に生息し続けてきたサンゴ虫などによって吸収され石灰に変えられました。セメントの原料として世界各地で掘り出される石灰岩はこうして作られたいわば二酸化炭素のかたまりなのです。

 人間は今、石油や石炭などの化石燃料を大量に消費することによって温暖化を引き起こし、地球を穏やかな気候に保ってきたサンゴ礁さえ破壊しようとしています。地球温暖化は、生命が数十億年かかって作り上げた地球の歴史を書き換えてしまうほどの大事件になろうとしているのです。 (平成19年10月17日記す)

 オゾン層を破壊するフロンガスの規制が始まって20年。南極上空では依然、最大規模のオゾンホールが出現しています。しかし、わずかずつですが回復する気配も見えてきました。最近、地球温暖化の進行が大きく取り上げられる一方で、あまり報道されなくなった「オゾン層破壊」の現実を見てみます。

最大規模が続くオゾンホール

 成層圏のオゾン層は、太陽から降り注ぐ有害な紫外線を吸収し、地球上の生命を守っています。このオゾン層がフロンによって破壊されている可能性が指摘されたのは1974年。1985年には、南極上空でオゾンの量が極端に減少する「オゾンホール」が確認されました。オゾンホールは、その後急速に拡大していることがわかり、重大な地球環境問題となりました。

 オゾン層が破壊されて紫外線が増えると、皮膚ガンや白内障が増加し、農作物にも悪影響を与えます。予想される事態の深刻さにより、オゾン層保護対策はこれまで人類が直面した環境問題の中では異例の速さで進みました。

 1987年には、「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が採択され、1992年には特にオゾン層破壊効果が高い特定フロンの製造を1996年までに廃止することが決まりました。現在は比較的オゾン破壊が少ない代替フロンと呼ばれるものが数種類使われていますが、これも2020年までに順次廃止されることになっています。

 しかし、これで問題は解決したわけではありません。これまで生産されたフロンは現在も大気中に放出され続けています。また、大気中に放出されたフロンがオゾン層にまで達するには10年以上かかるため、フロン対策の効果が現れるには時間がかかるのです。

 この間、南極上空のオゾンホールは拡大し続け、1998年から昨年まで多少の増減はあったものの、毎年9月から10月には南極大陸の2倍にも達する規模で出現しています。

オゾン破壊は今がピークか?


 では、今後オゾン層は回復するのでしょうか? 世界気象機関(WMO)によると、フロンなどのオゾン破壊物質は、対流圏(0~10㎞)では92~94年をピークに、成層圏(10~50㎞)では90年代後半をピークに減少しています。約20年にわたるフロンガス削減の国際的な努力の結果が、ようやく現れ始めているのです。

 2006年、国連環境計画(UNEP)とWMOが発表した報告書によると、中緯度地域(緯度30~60度)でオゾン層が70年代の状態に回復するのは2049年頃。南極上空のオゾンホールが消滅するのは2065年頃と見られています。

 しかし、油断は禁物です。オゾンホールの規模は頭打ち状態ですが、縮小しはじめたわけではありません。引き続き対策をとらないと回復が遅れる可能性が高いのです。また、人間が不用意に作り出した化学物質によって、これほどの代償を支払うことになった事実を反省すべきことはいうまでもありません。

 人類が直面しているさまざまな環境問題の中で、オゾン層の保護に関しては、先進国を中心とした国際協調により、異例の早さで有効な対策がとられました。その結果、人間は自ら引き起こした環境破壊のうちの一つを解決しつつあるのです。今、地球環境にとって最も深刻な温暖化も、世界が協力して取り組めば解決出来るのではないか? そう思えてきます。 (平成19年9月13日記す)

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