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地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量を6%削減するという京都議定書の削減目標達成が危ぶまれています。目標年次を目前に控え、温室効果ガスの排出はむしろ増加しており、政府の見通しの甘さが指摘されています。

6%削減は達成困難

 京都議定書によって日本に課せられた温室効果ガスの削減目標は6%(1990年比)。しかし、8月に環境省と経済産業省の合同審議会がまとめた報告によると、その達成は難しいことが明らかになりました。

 日本の温室効果ガスの排出量は、基準年である1990年には12億6100万トン(CO2換算)で、目標値は2008~12年までの平均で6%減の年11億8600万トンです。しかし、2005年度には13億6000万トンと逆に7.8%も増加しているのです。

 今回の推計は、今後各業界が設定した自主目標を達成するという前提で、中間の2010年度の排出量を12億7300万~12億8700万トンと見積もっています。これは、1990年比で0.9~2.1%上回ります。

 これでは、6%削減どころではなさそうですが、政府の計画では実際の削減目標は0.6%だけで、残りの5.4%のうち3.8%は森林吸収(注1)で、1.6%は途上国での削減プロジェクト(注2)や排出権取引(注3)を利用して確保するとしているのです。

 つまり、0.9~2.1%増から5.4%を引いた、4.5~3.3%の削減が達成されるとしているのです。それでも目標には1.5~2.7%分(2000万~3400万トン)不足します。

原発の正常稼動が前提だが…

 日本の温暖化対策は「京都議定書目標達成計画」に具体策が示されていますが、温暖化ガスの増加傾向に歯止めがかかっていません。

 その原因のひとつは政府の見通しの甘さです。たとえば、温室効果ガス排出量の3割を占める発電については、原子力発電の推進によって削減をはかるとし、稼働率87~88%を前提にしています。

 これは、これまで達成されたことのない非現実的な数字で、実際には東電などのトラブル隠しの影響で、03年度は59・7%にまで落ち込み、04年度からは70%程度で推移しています。

 今年7月の中越沖地震では新潟県の柏崎刈羽原発が停止し、この代替を火力発電で行った場合のCO2排出量の増加は年間2800万トン(日本の総排出量の2%)と見込まれています。運転再開のメドさえたたず、耐震構造の問題も指摘されるなど、今後も不測の事態が考えられる中、政府は原発の位置付けを変えていません。

手詰まりの削減対策

 政府は今後、業界団体の自主削減目標の上乗せや、建築物の省エネ規制強化、家電製品の省エネ性能の向上などを検討するとしています。また、1人1日1㎏のCO2削減を呼びかける国民運動も盛り込んでいます。しかし、いずれも実効性については疑問視されています。

 今、根本的な対策として議論を呼んでいるのは、温室効果ガスの排出量に応じて課税する「環境税」と、企業に対して温室効果ガスの排出枠を設けた上で、企業間で排出量を売買する「国内排出量取引制度」の導入です。市場原理に基づいて効率的に温室効果ガスを削減する方法として、すでに先を見越した取引が始まっていますが、経済界は反対しています。

達成できないとどうなるのか?

 では、京都議定書の目標が達成できなかった場合どうなるのでしょうか? 残された手段は超過達成した国からの排出権の購入です。世界では今後を見越して排出権の取引が始まっており、現在の相場はCO2換算でトン当たり2千円程度で、2000万トン分だと約4千億円(年間)に上ります。

 しかし、2000万~3400万トンの不足という見積もりは甘く、5000万トン以上、場合によっては1億トンもオーバーするのではないかという推測もあります。もし1億トンならば2兆円(!)もの支出になり、国民にとって大変な支出になります。

 また、排出権取引は京都議定書でも補足的な手段とされており、大幅な未達成分を金で買って達成するなど、議定書策定の議長国として不名誉なことといわざるを得ません。

 そもそも、京都議定書自体、地球温暖化対策の「はじめの一歩」に過ぎません。EU諸国が提唱し、安倍首相も賛成している2050年までに50%削減という次の大きな目標が控えているのです。 (平成19年8月14日記す)

注1:日本の森林は戦後の植林により成長途中のため、多くのCO2を吸収しているとされる。
注2:他国への技術・資金援助により削減された温室効果ガスの一部を、援助した国の削減分として繰り入れる制度がある。
注3:排出削減を超過達成した分は「排出権」とし国や企業間、あるいは市場を通じて売買できる。未達成の国はその分の排出権を買うことで達成したとみなされる。


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