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地球温暖化によって氷が溶け、海水面が上昇して低い土地が水没するといわれていることは、多くの人が知っていることでしょう。しかし、なぜそれが起こるのかについては多くの誤解があるようです。

南極の氷は溶けない?

 地球温暖化に関する専門家の集まりである「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)によると、温暖化の進行によって、今世紀中に海面は最大で59㎝上昇すると予測されています。

 では、なぜ温暖化すると海面が上がるのでしょうか? おそらく多くの人は、「南極の氷が溶けるから」と思っているのではないでしょうか?……実はこれは正しくありません。南極には平均の厚さが2千mの、地球上の90%もの氷がありますが、IPCCの報告でも今のところ溶けていないのです。というのは、南極では夏でも気温が0℃以上になることはほとんどないからです。

 氷が溶けるかどうかは単に温度が上がるかどうかではなく、0℃を境にした温度変化によって決まります。したがって、現在氷が溶けているのは0℃を境に気温が上下するような地域、例えばヒマラヤアルプスアラスカスカンジナビアなどの山岳氷河です。

 このような山岳氷河は冬には拡大、夏には縮小を繰り返しながら、温暖化によって少しずつ後退し、海面上昇を引き起こしているのです。
 また、海面上昇は氷が溶けなくても、温度の上昇だけでも起こります。温度が上がると水は膨張するからです。これによって数㎝の海面上昇が今世紀中に起こると予測されます。

北極が溶けている

 氷が溶けているもうひとつの場所が北極です。北極は南極と異なり大陸が無く、平均で2mしかない海氷が海水の上に浮いています。これが今、急速に減少し、2007年9月には観測史上最も小さくなりました。

 北極の氷は海に浮いているため、溶けても海面上昇は起こりませんが、氷の減少は温暖化を加速させています。白い氷は太陽からの放射熱のほとんどを反射しますが、氷がない海面はその半分以上を吸収するため、ますます温度が上がり氷が溶けるのです。このままでは2040年頃には北極の氷はほとんどなくなってしまうという予測もあります。

 北極の気温は、すでに過去100年間に2℃程度上昇したと推定され、これは地球平均(0.7℃)の3倍になります。今世紀中には10℃も上がるという予測もあります。

 気温の上昇は、新たな異変も引き起こしています。北極圏の永久凍土が溶けつつあるのです。永久凍土には植物が分解されてできた大量のメタンガスが蓄積されており、これが凍土の溶解によって放出されています。メタンガスは二酸化炭素の20倍の温室効果があり、さらに温暖化を進行させるのです。

 北極の温暖化は、世界の氷の9%になるグリーンランドの氷床にも異変を起こしています。この氷床は、夏には一部が海に崩れ落ちて氷山となりますが、最近その数が急増しているのです。

 その原因は、夏には溶けてできた水が氷の割れ目から地下の岩盤にまで流れ出し、氷の底が滑りやすくなって氷床の崩壊を加速させているためです。現在のところ海面上昇の最も大きな原因はこのグリーンランドの氷床の崩壊なのです。

南極で生じている異変とは?

 先述したように、南極では氷はほとんど溶けていません。しかし、重大な異変が起こりつつあります。それは、大陸から海に向かってせり出している棚氷の崩壊です。

 その原因は、夏に表面の一部がわずかに溶けて氷に染み込み、棚氷がもろくなったことと、海面上昇によって下から突き上げられたことによると考えられます。ただし、棚氷も北極の海氷と同様に、もともと海の上にある氷なので、流れ出しても海面上昇は起こりません。

 しかし今後、棚氷が大規模に崩壊すると、南極の氷床の一部が不安定になり、大陸上の巨大な氷が大規模に海に崩れ落ちる可能性があります。そうすると4~5mもの海面上昇が起こる可能性があるのです。

 このような極端な海面上昇は今世紀中には起こりません。しかし、わずかな海面上昇がきっかけで、いずれ連鎖反応的に海面上昇が起こると予測されているのです。

 世界各地で起きている異変は、温暖化対策が遅れると将来に取り返しがつかない事態を引き起こす可能性を示しているのです。
(平成19年12月7日記す)

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