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今年(2007)の4月よりバイオエタノールを3%混合したガソリンの試験販売が首都圏の50ヵ所のスタンドではじまりました。2010年度までに全国で販売される予定で、地球温暖化対策の切り札として期待される一方、問題点も指摘されています。

ブラジルでは100%バイオ燃料車も

 バイオエタノールとはトウモロコシやサトウキビなどを発酵させて作ったエタノール(エチルアルコール)のことで、ガソリンに混ぜて自動車などの燃料として使われています。

 バイオエタノールもガソリン同様、燃やすと温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)を出します。しかし、植物が成長する過程で光合成によってその分のCO2を吸収するので、地球温暖化を防ぐ切り札として注目されているのです。すでにブラジルでは1990年代から導入が進み、今ではすべてのガソリンに20%以上混合され、バイオエタノール100%に対応した自動車も登場しています。

 日本は、京都議定書で、CO2など温暖化ガスの排出量を、2008~2012年までに6%(1990年比)減らす義務を負っています。これを実現する一環として、政府は輸送用バイオ燃料を2010年までに、原油換算で年間50万キロリットル導入する計画を立てています。今回の試験販売はその先駆けで、今後2年間かけて流通や安全性などを確認し、全国で販売する予定です。

 しかし、問題も残されています。第一に供給量をどう確保するかです。現在国内で数ヵ所のバイオエタノール工場の建設が進んでいますが、完成しても供給量はわずかです。残りはブラジルなどからの輸入でまかなう予定ですが、輸送手段などに問題があります。

 第2は、バイオエタノールをどのように混合し供給するかです。石油業界は現在の石油流通形態を維持するため、製油所で他の石油化合物を含めて混合する方式を主張し、今回の試験販売もこの方法が取られています。一方、環境省はそれだけでは消費拡大は出来ないとして、ガソリンスタンドでの直接混合方式の導入を求めています。

上昇する穀物価格

 一方、バイオエタノールの普及は、穀物などの食糧価格の上昇を招いています。ブラジルやアメリカでは、サトウキビやトウモロコシの燃料への転換が拡大した結果、砂糖やトウモロコシの価格が上昇しています。

 特に今年1月、アメリカ政府がガソリンの年間消費量を10年間で20%削減する目標を掲げ、代替燃料となるエタノールなどバイオ燃料の増産を発表した結果、トウモロコシの価格が急騰しました。

 これによって、トウモロコシが主食のメキシコでは、特に貧しい人々の生活に打撃を与え、大規模なデモに発展しています。日本でも家畜の飼料が高騰したほか、原料である食用油の値上がりで、マヨネーズの価格が上がりました。さらに、アメリカの大豆やオレンジ生産農家が、より利益の出るトウモロコシに転作したため大豆やオレンジの価格が上昇するなど、影響が拡大しています。

 世界の農産物の増産には限界があります。その中でバイオエタノールの消費が拡大すると、食料不足につながり、特に貧しい人々には深刻な影響が出る可能性があるのです。

 このため、サトウキビのカスやトウモロコシの芯などの農業廃棄物や生ごみ、さらに木材や稲わらなど、食料以外の原料からバイオ燃料を作る技術の開発も必要です。

検討課題が山積

 また、バイオエタノールが逆に地球環境の破壊を引き起こす可能性も指摘されています。ブラジルでは大豆価格の上昇に伴い、アマゾン川流域の熱帯雨林を切り開いて大豆を作付けする動きが広まっているのです。

 欧州では軽油に代わる、バイオディーゼルの導入が進みつつありますが、ナタネなどの原料作物を栽培する十分な農地がなく、そのためパーム油などを東南アジア諸国から輸入していますが、インドネシアでは、パーム油の原料であるアブラヤシのプランテーションを造成するために原生林が伐採されています。

 バイオエタノールによって本当にCO2の排出が削減されるのか疑問視する声もあります。原料となるサトウキビ・トウモロコシなどを育てるには石油を原料とする化学肥料が使われるほか、「耕作」「刈り取り」「エタノールへの変換」「輸送」という各段階で、大量のエネルギーが使われるからです。

 そんな中、日本ではバイオエタノール先進国のアメリカやブラジルに続けということで、関係省庁が集まった「バイオマス・ニッポン総合戦略推進会議」で、今年2月、2030年までに年600万キロリットルのバイオエタノールを国内で生産する構想をまとめました。これは現在のガソリン年間消費量の1割にあたります。

 バイオ燃料の推進には、39万ヘクタールもの耕作放棄地の有効活用や、間伐材を原料にすることで林業振興にも役立てようという狙いもあります。バイオ燃料の導入には各国の事情に合わせた研究・検討が必要なのです。(平成19年5月18日記す)

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